前、私は良く声で遊んでた。

36歳くらいまでは。

37歳になったら、なんとなく声が出にくくなって

38歳になって、ヴェルディのレクイエムを歌ったら完全に出なくなった。

遊べなくなった。

その頃から仕事はめちゃくちゃ忙しくなってました。

手帳が真っ黒になるくらい。

私のような職業で手帳が真っ黒になるくらい生徒さんがいる状態はみんなからもびっくりされました。

でも、もう40歳になるまでには、歌手としての威厳は何もなくなってました。

講師として名前が上がるようになってきました。

でも、40歳になってすぐ、転機がきました。

40歳からほんとの歌の勉強が始まりました。

前は、どうしてあんなに自由に声を出していたかはわからないで、勝手に声が出てしまうと思っていました。

でも、今はどうして声が鳴るのか、身体のどの筋肉をどう使っているのかが良く解って声を出しています。

努力しました。

とてもとても努力しました。

今まで私がしていた発声法は、全部一回取り払った形になりました。

否応なく、取り払われた状態。

私も言うがままにしていたら、そうなった。

なので、アクートは完全に出なくなりました。

でも、さほど気にしませんでした。

強弱も付けられなくなりました。

でも、気にしませんでした。

とにかく、なーんか先生が面白かったから、言われるままにしていました。

出来てもできなくても。

なるべく忠実に。

ただ偶然声が出る、ではなく

こうやって、確実に狙って出してるよ

と教えてあげられる。

少々調子が悪くても怖くないように

してあげられる。

自分もそうして歌っているから。