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私の先生は、素晴らしい歌を教えてくださいますが、いつもレッスン中は穏やかで、あまりワーワーと大きな声でがなる事がありません。なので、先生の真意が心と身体に染み込んできます。他のレッスン生に接している時でもそのような感じです。
本当に伝えたい事がある時は、却って大きい声でない方が良く聞けます。そして受けとるこちらも、先生は本当に伝えたい事があるのだなあと、神妙な気持ちで大切に先生の一言一言を真剣に受けとります。
それから先生は、レッスンが終わると、私たちと一緒になんでも沢山召し上がります。良く食べるのです。なので、背筋もシャキッとしていて、お歳のわりに体力があります。それから、ユーモアも沢山あっておおらかで楽しい先生です。しかし私たちは、プロの歌手ですから、レッスン中は求められるものも厳しいです。あまりに先生の真意が生徒側に伝わらない時は、やはり空気が凍りそうな時もあります。先生からは、早く正しく伝わって欲しい思いがいっぱい溢れていて、注ぎ込もうとする先生の姿。生徒側は自分の思いと、先生の思いとの狭間で心が葛藤している姿。(特に生徒側の年齢も若く経験が浅いとそうなる時もあります。)側で見ているベテランレスナー達は、それを見守る訳ですが、どちらの気持ちも解るので、お互いの真剣な姿に感動し、涙してしまうような時もあります。先生のそんな姿を私には、大きく、おおーきく見えています。
どんなに年齢を重ねても、自分が一生懸命である以上は、真剣に自分と向き合ってくださる大きな存在がある事で、自信を持って人前に立てるような気がします。