マリエッラデヴィーア
ベルカントの女王。
この方を知ったのは、ほんの6年前。
私が神戸文化ホールで歌っていて、お客様から私の歌を誉めて頂いたの。
その頃は、宗教曲のソリストやらいろいろやってた時だったから、バリバリ歌ってた。
リサイタルも開いたし、
録音収録やいろいろやってた。
凄い!凄い!て言ってもらったの。
私が歌った後、確かに文化ホールは盛り上がってた。
けど、私としては、このままでは絶対私はダメになる、と思ってた。
何故なら、私には心から信頼して尊敬している、と言える師匠がいなかったから。
遠くまでお金をかけて、先生を探しにも行ったけど、納得のいく先生はいなかった。
親に借金ばっかりできて。
30後半にもなって、まだ親を頼って生活していたし。
その時の借金を今も返していて、こないだ父に聞いたら、ほんとに後少しで完済です。
そしたら、お客様が私の働いていたカルチャーセンターに来て、千賀先生にこれを届けてください、と受付に渡してくれたものが、デヴィーアのCDだった。
その方、後で会いに来てくれて、「こないだの演奏、凄い!て思ったよ。」
「千賀先生もこんな風になって!」
「こんな風に歌って」
「千賀先生ならできる!」
て…。
私はきょとんとしちゃったけど、デヴィーアのCDには、久々に心から感動して、でもこうはなれない、歌えない、と思ったので、私の生徒さんに
「今日はCDを聴くレッスンにします。」と言って、
「これが本当のオペラの声よ」て。
「素敵でしょう」て。
でもその頃、デヴィーアがベルカントの神様みたいに言われてる事は知らなかった。
ただただ感動したから
自分が歌って示してあげる事はできなかったから、CDを聴いてもらったの。
元々、いいものをお伝えしたい気持ちで始めた教室だったから。
何故なら、私も感じてたから
周りの先生や、友達、先輩を見ていて、誰一人、素敵だと思った事がなかったから、
正直、まだ自分の方がましな声と感性を持ってると信じていたから。
だから、「ベルカントで歌いましょう声楽教室」と、大それたタイトル付けましたし。
だから、本当にいいものは解る。
自分は知ってた。
周りや、自分、メディアで取り上げられてる日本人歌手、誰一人として、素敵だと思った事がなかったのに、どうして有名になれるんだろう?て思ってた。
きっと私にはない、他の才能がバランスよくあるのね。
と私なりに理解はしていたけれど。
何処か納得のいかない気もしてた。
そして私はなんとなく、これからの自分の将来に不安と、退屈とで、悶々としながら過ごしていたら
別の生徒さんが、「先生、デヴィーアが神戸に来ますよ」
「うっそー!ああいう人は、東京、大阪、京都には来ても、神戸には来ないのよ」て言ったら、
「ほらぁ、マスタークラス、先生も受けてください。」と。
受講料は「私が出して上げます」と。
それで、お金は自分でちゃんと出すつもりで、オーディションを受けたのだけど、通らなかった。
もうそのころは、心もなんとなく萎えてたし、関西のオペラ界の第一線から自分から退いちゃった感、満載だったし。
自信がなくなってたし。
思うようには歌えなかった。
落ちて当然と思って、また暫くしたら、
今度は、デヴィーアの代わりの人が現れて、
それが、今の師匠なの。
いつも話してるでしょ?
その人なの。
なんとなく、日本にはそんなにいい先生はいないと思ってたから、また人間的に変な先生だったり、納得がいかなかったら、楽しくなかったら、さっさと辞めたらいいと思ってたのに…。
なんか、面白いことになっちゃって。
でも最初の頃は、毎月毎月来るから、なんで毎月くるのかな?
私は、たまにでいいんだけど…、と思ってた。
仕事が忙しくなってたし、働かなくちゃ、とも思ってたから。
今さらながら勉強してもしょうがないともちょっと思ってたし…。
でも、周りの人達が沢山真面目に受けるみたいだったから、神戸でこんなに沢山の人が勉強してるんだったら、私も勉強しないと、神戸で一番下手くそになっちゃう、とも思って、とにかく、勉強が追いつかなくても、取り敢えず、受けるだけ受けて、みんなについて行こう、と思って受けてるうちに、なんかやたら面白くなっちゃって…。
今は、めちゃくちゃ真剣になって。
でも、やっぱり、そこで頑張ってみたけど、自分の技量を知ってるし、出会うのが遅すぎたし。
でも今の師匠に出会ったいきさつも、タイミングもそれでよかったのだけど…。
デヴィーアは、デヴィーアの自分の人生をプロ中のプロとして生きてるし、私は、私の人生を。
全然私とは生きる世界の違う人。
遠くの遠くの人。
神から与えられた使命が違うの。
でもね、本物をきちっとはっきり知ってることと、知らないのとでは、心の豊かさも、人間性も全然変わってきます。
それに、魂の部分から全然違う事も理解してて、前世から全然違うのよ。
私も今途中なの。
また生まれ代わったら、今より一歩進んだ歌手になってると思うから、現世で良く勉強しておかないとまた来世も苦労しちゃう。
私は、これから私の本当の仕事をしようと思います。
それから歌に関しては一生勉強なんだけど、今の師匠がいなくなったら、他の人をまた探そうとは思わない。
今の師匠の代わりなんていないのよ。
違う人の所で、せっかく身につけたものが、壊れるのも嫌だから。
いなくなったら、代わりの人なんて探さないし、求めない。
それくらい、出会い、て尊く貴重なのよ。
なんだか、長くなってしまいました。
一生懸命に読んでくださりありがとうございました。
だけれど、私は、いろいろ思い出したり、考えたら、とてもとても悲しくなってきてしまったので、寝ることにします。
ほんとに読んでくださりありがとうございます。
お休みなさい。(-.-)Zzz・・・・
ベルカントの女王マリエッラデヴィーアとの出会い
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